OpenAIが業務特化の最新モデル「GPT-6 Astra」を発表 PC操作対応と高コスト効率を実現
要点
-
米OpenAIが業務特化の最新AIモデル「GPT-6 Astra」を発表し、ChatGPT Work、Codex、API経由で提供を開始した。
-
APIを持たない業務アプリケーションでも画面操作(Computer use)を通じて直接作業を実行でき、事前準備なしで業務フローに導入できる。
-
ターミナル操作ベンチマーク「Terminal-Bench 4.0」で57.9%を記録するなど、ソフトウェア開発や専門業務の評価で最高水準に達した。
-
少ないトークンと試行回数で作業を完結させる設計により、入力100万トークンあたり10ドル、出力50ドルの価格設定とともにタスク単価を抑えている。
-
米OpenAIは、企業の業務利用に向けた最新の大規模言語モデル「GPT-6 Astra」を発表した。同モデルはすでに法人向けサービスの「ChatGPT Work」や開発環境「Codex」、開発者向けAPIを通じて提供が開始されている。ソフトウェアエンジニアリングやデータ分析、サイバーセキュリティなどの専門業務において、高い処理速度と精度、判断力を発揮するよう設計されているという。
画面操作による既存業務への即時導入と高い適応力
従来のAI導入では、データの事前整形や業務フローの再設計、専用APIの構築といった準備作業が必要とされるケースが多かった。これに対しGPT-6 Astraは、PC画面を認識してマウスやキーボード操作を代行する「Computer use」機能を備えており、APIが用意されていない日常的な業務アプリケーションでも画面上で直接操作して作業を進めることができる。これにより、企業は大規模なシステム改修を行わずに既存の業務フローへ即座にAIを組み込むことが可能になったと同社は説明している。
実務応用の一例として、Excelのスキルを競う大会「Financial Modeling World Cup(2023 Microsoft Excel World Championship)」の課題において、GPT-6 Astraは優勝した人間の競技者と比較して約4倍の速度で財務モデルの作成タスクを完了したという。また、企業のブランド規定やスライドのテンプレート、文章トーンを踏襲する精度も向上しており、社内基準に沿ったプレゼンテーション資料などを初期出力から実用に近い品質で生成できるとしている。
ベンチマークで最高記録を樹立、タスクあたりの実行コストを削減
GPT-6 Astraは、少ないトークン消費と少ない再試行回数でタスクを完結させるよう訓練されており、作業の手戻りを減らすことでタスクあたりの実行コストを抑えている。APIの利用料金は、入力100万トークンあたり10ドル、出力100万トークンあたり50ドルに設定された。
ターミナル環境でのシステム構築や解析能力を測定するベンチマーク「Terminal-Bench 4.0」において、GPT-6 Astraは57.9%のスコアを記録した。これは前世代モデル「GPT-5.6 Sol」の37.3%や「Claude Fable 5.1」の55.8%を上回る数値だという。タスクあたりの推定APIコストについても、GPT-5.6 Sol比で約9%、Claude Fable 5.1比で約63%低く抑えられていると報告されている。また、ソフトウェアエンジニアリングの実務タスク解決能力を評価する「DeepSWE v1.1」においても、過去最高となる74%の正答率を達成した。
外部企業による実務検証とコード解析精度の向上
早期アクセスを実施した各社からも検証結果が報告されている。AIエンジニア「Devin」を開発するCognitionは自社のテスト環境へ統合して社内ベンチマークで最高水準を記録したとし、Databricksは業務文書応答ベンチマーク「OfficeQA Pro」シリーズで新記録を樹立してタスク単価が改善したと述べている。
文書分析ツールを手がけるHebbiaの検証では指示遵守率が17%向上し、クラウドストレージのBoxでは、AIが誤った情報を確信を持って出力する「ハルシネーション」の発生率が10%以上減少したという。このほか、Figmaにおけるデザイン作業の自動化や、Thomson Reuters Labsによる法務文書の意図把握、Basisでの5時間超の自律エージェント作業における成功率20%向上などが報告されている。さらに、コードレビューの評価では既存基準に比べてバグ検出率が約20%向上し、複数ファイルにまたがるPull Requestでは検出率が2倍以上に達したとされている。
OpenAI社内での先行活用事例
OpenAIでは一般公開の数週間前から社内で実務に投入していた。開発・マーケティングチームは、3時間にわたるマルチカメラ映像素材の編集作業にAstraとCodexを活用し、公開4日間で55万回以上再生されたプロモーション動画を制作した。
またエンジニアリングチームは、Codex環境で発生していた応答遅延の原因調査において、Astraを用いてメモリアロケーション(メモリ領域の確保処理)のボトルネックを特定した。アロケータを切り替えた結果、ピーク時のメモリ使用量は約30%増加したものの、1ターンあたりの応答遅延を25分の1に短縮することに成功したとしている。