OpenAIが最新モデル「GPT-6 Astra」を発表、脆弱性悪用テストで満点を記録するも悪用コード生成は遮断
要点
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OpenAIは、高い知能と整合性を備えた新世代AIモデル「GPT-6 Astra」を正式発表した。
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脆弱性を悪用コードへ変換する能力を測るベンチマーク「ExploitBench」で100%の満点を記録し、前世代から能力が大きく向上した。
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攻撃への悪用を防ぐため、初期提供版では脆弱性の概念実証(PoC)コード生成要求をブロックし、コード修正やレビュー用途に限定される。
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重要インフラの防護を支援するため、10億ドル規模の支援策「Daybreak for Frontline Defenders」を立ち上げ、米MS-ISACとの連携を開始した。
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米OpenAIは現地時間2026年9月3日、サイバーセキュリティや各種推論タスクにおいて極めて高い性能を持つ新世代AIモデル「GPT-6 Astra」を正式に発表した。同社が自社の安全性評価基準「Preparedness Framework」において「Critical(重大)」なサイバー能力に達したと公表していたモデルであり、「世界で最も知的で整合性のあるモデル」と位置付けられている。高いサイバー攻撃・防御能力を持つことから、悪用を防ぐ厳格なセーフガードを適用した状態で提供が開始された。
卓越したベンチマーク結果と高度なサイバーセキュリティ能力
GPT-6 Astraは、複数の難関ベンチマークにおいて従来の記録を大きく更新している。数学的推論能力を測定する「FrontierMath Tier 4」で98%、汎用人工知能向けの性能を測る「ARC-AGI-3」で99.9%のスコアを記録した。さらに、コンピュータやブラウザを自律的に操作する領域でも、要求の厳しい専門業務を迅速かつ正確に処理できるという。
特に際立った結果を示したのがサイバーセキュリティ領域だ。ソフトウェアの既知の脆弱性を突く実動コードへの変換能力を評価するテスト「ExploitBench」において、GPT-6 Astraは100%という満点を達成した。これは前世代のサイバー対応モデル「GPT-5.6 Sol」の78.5%から大幅な向上となる。
また、2026年7月から8月にかけて判明した脆弱性を用いた実証実験でも、GPT-5.6 Solを大きく上回る任意コード実行率を記録したと報告されている。この実験対象には、修正プログラムが存在しない未公開ソフトウェアの「ゼロデイ脆弱性」2件も含まれていた。OpenAIによると、安全対策を適用しない状態であれば、セキュリティが強化されたWebブラウザにおいて未知の欠陥からコードを実行したり、堅牢化されたOS上で権限昇格を行うエクスプロイトを開発したりすることすら可能な水準にあると説明している。
防御用途に限定した安全対策と提供環境
こうした高度な機能は、防御側の迅速な弱点発見に役立つ一方で、悪意ある攻撃者によって悪用される「デュアルユース(表裏一体の二面性)」のリスクを抱えている。この懸念に対応するため、今回リリースされたGPT-6 Astraには意図的な機能制限が設けられた。
初期バージョンにおけるモデルの機能は安全なコードレビューやパッチ(修正プログラム)の作成などに絞られており、脆弱性を突く実証コードである「PoC(Proof of Concept: 概念実証)」の作成を求めるプロンプトに対しては、モデルが指示を拒絶するよう設計されている。
また、不適切な指示によって安全制御を回避する「ジェイルブレイク(脱獄)」への耐性を強化したほか、監視システムへの文脈提供を拡充し、モデルの動作が意図から外れる兆候を検知・封じ込める仕組みが組み込まれた。ユーザーが指定した境界や環境の制約を尊重して動作する可能性が高められているものの、厳格な安全チェックが正規の防御作業を一時的に中断させることがあり、その際はユーザーに確認を求めるプロンプトが表示される仕様となっている。
なお、同社は今後数週間のうちに「OpenAI Daybreak」プログラムを通じて、より制限を緩和したセーフガードを段階的に導入する計画だ。これにより、正規のセキュリティ担当者による脆弱性やPoCの検証、マルウェア分析、脅威検知エンジニアリングといった実践的な防護作業への活用が可能になる見込みだという。
GPT-6 Astraは現在、一部の組織を対象に先行展開されており、順次ChatGPTの有料プラン(Plus、Pro、Business、Enterprise)ユーザーや、OpenAIのAPI、さらにはMicrosoft AzureおよびAmazon Web Services(AWS)Bedrockを通じて幅広く提供される予定となっている。
重要インフラ防護に向けた10億ドル規模の支援構想
GPT-6 Astraの発表と同時に、OpenAIは最前線で防御にあたる組織を支援する大規模プロジェクト「Daybreak for Frontline Defenders」の発足を発表した。10億ドルの予算を投じ、高度なAIサイバー能力を活用して不可欠な社会インフラをサイバー攻撃から守ることを目的としている。
この取り組みでは、水道や電力といった重要インフラをはじめ、地方自治体、金融機関、非営利団体、オープンソースの保守担当者など、セキュリティ資源が限られた組織に対して、モデルへの助成付きアクセスや実践的な研修、技術的支援を提供する。
すでに初期段階のパイロットプログラムとして、米国の州・地方自治体などの情報共有と分析を支援するセキュリティ組織「MS-ISAC(Multi-State Information Sharing and Analysis Center)」との連携が発表された。公共部門や水道事業のセキュリティ担当者に対して、Daybreakへのアクセスや専門的なトレーニングが提供される予定だ。
OpenAIは発表に際し、攻撃者が悪用する前にAIを活用してセキュリティの隙間を埋める「防御側の猶予期間(defender's window)」が狭まっていると述べており、強力なツールを防御側の手に届けることで重要インフラの保護を支援していく方針を示している。