OpenRouter、AIエージェントの用途やコストを自動分類・可視化する新機能「Classifiers」を発表
要点
-
AIモデルへの生成リクエストに対し、業務内容やコスト発生部署などの属性を自動でタグ付けできる機能である。
-
APIによる生成処理の完了後に非同期で分類処理を行うため、利用時の応答速度に影響を与えない。
-
コストを抑えるためのサンプリング機能が提供され、分類用のAIモデルには「Gemini 3.5 Flash Lite」が推奨されている。
-
分類結果はログに記録されるほか、ダッシュボード上で部署ごとの支出割合などの集計データを可視化できる。
-
複数のAIモデルを統合的に呼び出せるAPIゲートウェイサービスを運営するOpenRouterは、2026年7月24日、AIリクエストの用途や費用を自動で分類・管理する新機能「Classifiers(クラシファイア)」のベータ版を公開した。本機能は、増加するAIエージェントの利用実態やコストの透明性を高める目的で開発されたという。企業内の開発部署やコンプライアンス担当者は、この機能を活用することでAI活用のガバナンスを強化できると説明している。
-
「Classifiers」は、OpenRouterを通じて実行されるすべてのAI生成リクエストに含まれる情報、例えばタスクの種類、複雑さ、要求元の部署、不適切な内部データの有無などを自動で判別する仕組みである。あらかじめ定義した分類基準(タクソノミー)に従い、選択したAIモデルがリクエストごとにタグ付けを実行し、その結果をログに記録する。この分類処理は、メインの生成リクエストが完了した後に非同期(本処理とは独立して並行して進める処理方式)で実行される。そのため、AIモデルによる応答の生成時間、いわゆるレイテンシ(処理の要求から応答までの遅延時間)には一切影響を与えないのが大きな特徴だ。
-
ユーザーは、分類器を細かくカスタマイズできる。1つの分類器は、最大8つの属性を設定できる「タクソノミー(分類体系)」、分類を行うAIモデルへの指示である「分類プロンプト」、実際に分類処理を担当する「AIモデル」、そして分類を適用するリクエストの割合を調整する「サンプリングレート(抽出割合)」の4つの要素で構成される。
-
分類を容易に開始できるよう、OpenRouterは以下の6種類のプリセットテンプレートを用意している。
- Department(部署): リクエストの送信元がエンジニアリング、営業、マーケティング、法務のいずれであるかを判定し、どの部署がどれだけのAI利用コストを発生させているかを追跡する。
- Audience(対象読者): 生成されたテキストが社内用、顧客向け、規制当局向け、一般公開用のいずれであるかを分類し、コンプライアンスの運用フローを構築するために利用する。
- Task type(タスクタイプ): コーディングやデータ処理、テキストの執筆など、モデルが何を行っているかを分類し、難易度に見合った適切なモデルが選択されているか確認する。
- Engineering work(開発業務内容): バグ修正、新規機能開発、ドキュメント作成など、エンジニアリングにおける具体的なAI活用状況を把握する。
- Agent complexity(エージェントの複雑さ): 単純なツールの呼び出しから高度な推論を伴う処理まで、タスクの難易度階層を分類する。
- Capitalizable software expense(資産化可能なソフトウェア支出): AIを活用した開発作業が、会計上の資産化が可能な開発なのか、日常の運用・保守・サポートなのかを区分する。
-
分類処理を実行するモデルはユーザー自身で選択可能で、同社は「Gemini 3.5 Flash Lite」の採用を推奨している。同モデルは利用料金が安価である一方で、プログラムで扱いやすい構造化された形式での出力精度が高く、大半の分類基準において十分な性能を発揮するという。また、全リクエストを分類すると処理コストが膨らむため、サンプリング機能を組み合わせることが可能だ。例えば、厳格な監査が必要なコンプライアンス分類は100%で実行し、全体的なコスト分析用の分類は10%の割合でサンプリング実行するといった運用ができる。
-
分類されたデータは、ログ上に構造化タグとして保存される。ユーザーはログ画面から「
department: legal」や「agent_complexity_difficulty_tier: complex_multistep」などのタグを使って、特定の条件に合致するリクエストだけを容易にフィルタリングできる。さらに、過去のログに対して新しい分類器を適用し、結果がどのようにタグ付けされるかを後から検証する機能も備えている。 -
個々のログに加えて、OpenRouterの集計ダッシュボード「Activity Explorer」との連携も実現している。ユーザーはタグごとにトラフィックをグループ化し、タスクの難易度や部署ごとにどのAIモデルが最も多く使われているか、あるいはどこで最大のコストが発生しているかをグラフで視覚的に追跡できる。これにより、利用パターンの推移を長期的に把握し、社内の意思決定者に対してAIガバナンスが機能していることを示す報告資料として活用できるとしている。
-
なお、Classifiers機能は、OpenRouterのプライバシー設定で入出力のログ保存を無効化(オプトアウト)しているワークスペースであっても適用できるという。