OpenRouter、米国向け「In-Region Routing」を提供開始 プロンプトの復号から推論まで指定地域内で完結
要点
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AI中継プラットフォームのOpenRouterは、APIリクエストの復号から推論までの全工程を米国内で完結させる「US In-Region Routing」の提供を開始した。
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2025年10月に先行提供された欧州(EU)向け機能に続くもので、専用のエンドポイントURLを指定するだけでデータレジデンシー(データの保存や処理を特定の地域内に限定すること)の保証を実現する。
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ゲートウェイでの復号や推論だけでなく、サーバーツールの実行を含む全経路で地域内処理を徹底し、対応プロバイダーが地域内にない場合は他地域へ転送せず404エラーを返す仕様となっている。
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米欧のインフラ事業者によるホスティングを活用することで、DeepSeekやGLMといった中国発のオープンウェイトモデルも米国内およびEU内のデータセンター経由で利用可能とした。
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本機能はBusinessプランおよびEnterpriseプラン向けに提供され、Guardrails機能によってチームやAPIキー単位で地域外への通信を強制遮断することもできる。
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AIモデルのルーティングサービスを展開するOpenRouterは2026年9月9日、APIリクエストの処理を指定した地域内のみで完結させる機能「In-Region Routing」において、新たに米国リージョン(US In-Region Routing)の提供を開始したと発表した。同社は2025年10月にEU向けルーティング機能を提供しており、今回の追加によって米国と欧州の2大拠点において、データの物理的な処理場所を厳格に制御できる体制が整ったとしている。
ベースURLの切り替えで即座に導入可能
発表によると、利用者は接続先のベースURLを通常のエンドポイント(openrouter.ai)から地域専用のURLへ変更するだけで本機能を利用できる。米国向けには https://us.openrouter.ai/api/v1、EU向けには https://eu.openrouter.ai/api/v1 が用意されている。
APIキー、リクエストの形式(ボディ)、指定するモデルIDは既存のものと共通であり、コードの大幅な書き換えは不要だという。また、アカウントに登録されたプロバイダーの優先順位、フォールバック(代替切り替え)設定、プライバシー設定もそのまま引き継がれる。特定のシステムのみを地域専用URLに向け、その他のトラフィックは通常のグローバルエンドポイントで処理を継続させるといった柔軟な運用も可能と説明している。
全経路で地域内処理を担保するエンドツーエンド設計
一般的なAIゲートウェイにおける地域限定ルーティングでは、プロバイダー側の推論処理のみを特定地域に固定する「推論限定ルーティング」が採用されるケースがあるという。この方式では、ゲートウェイがリクエストを受信した段階で地域外のサーバーで復号や前処理が行われ、暗号化されていない平文のプロンプトが管轄外に一時的に存在するリスクが残る。また、Web検索などのサーバー側で動く外部ツールが地域外のインスタンスで実行される見落としも指摘されている。
これに対し、OpenRouterが提供するIn-Region Routingは「エンドツーエンドの地域ルーティング」を採用している。地域専用ドメインに送信されたリクエストは、指定された地域内で復号され、その地域内で稼働するプロバイダーのエンドポイントにのみ転送される。
さらに、外部ツールについてもデータ管轄権の事前検証が行われており、データを指定地域外へ送信する恐れのあるツールは、グローバルインフラに頼ることなく自動的に無効化される。指定地域内にモデルを提供できるプロバイダーが存在しない場合は、地域外への迂回を行わず、404エラー(No endpoints found supporting your data region.)を返してリクエストを終了させる設計となっている。
米欧大手モデルにおけるコンプライアンス要件への対応
元記事では、米国やEUに本拠を置くAI開発企業のモデルを利用する場合でも、通常のグローバルエンドポイント経由では地域内処理が保証されない実態が挙げられている。OpenAI、Anthropic、Google、xAI、Meta、NVIDIA、Thinking Machines、Mistralなどのモデルであっても、世界各地のデータセンターで稼働しているためだ。
企業のコンプライアンス審査では「プロンプトがどこで復号され、推論がどこで実行されたか」が問われるため、GPT-5.6、Claude Opus 5、Gemini 3.6 Flashといったモデルをグローバルエンドポイントで使用している場合、データ所在地に関する審査を通過できない可能性があるという。In-Region Routingを利用することで、リクエストが指定地域内に留まることを確実に証明できるようになるとしている。
米欧プロバイダー経由による中国発オープンウェイトモデルの活用
OpenRouterにおける利用動向として、オープンウェイトモデル(モデルの重みデータが一般公開されているAIモデル)の需要が急速に拡大しているデータも示された。2025年9月から2026年8月にかけて、米国発のリクエストにおけるオープンウェイトモデルのトークンシェアは26%から60%へ、EU発のリクエストでは16%から65%へと伸長し、いずれも2026年初頭に過半数を超えたという。
この成長には、NVIDIAの「Nemotron 3 Ultra」やThinking Machinesの「Inkling」といった米国製モデルも含まれるが、利用規模の大部分は依然として中国の研究機関・企業が開発したモデルが占めている。しかし、中国発モデルはデータ管理上の観点から、企業の調達承認を得ることが困難な場合が多いと説明されている。
In-Region Routingでは、Baseten、Fireworks、Azureといった米国のクラウド事業者が自国内のデータセンターでモデルをホストしているため、中国の開発元を介さずに安全に利用できる環境が整えられた。米国の専用URL経由では、DeepSeek V4 Pro、Kimi K3、GLM 5.2が米国内で復号・推論される。また、EU向けにもMistralのEU内データセンター経由でGLM 5.2が提供されている。
ガードレール機能による強制適用と利用プラン
本機能は、BusinessプランおよびEnterpriseプランの契約者向けに提供される。モデルの対応状況は、地域専用エンドポイント経由のAPI(/api/v1/models)または公式モデル一覧ページの地域フィルターから確認できる。
また、セキュリティ統制機能「Guardrails」を用いることで、特定のワークスペース、チーム、APIキーに対して利用可能なデータ地域をあらかじめ固定できる。設定された地域以外のホスト名に届いたリクエストは自動的に拒否されるため、意図しない地域外への通信を遮断することが可能だという。設定は管理画面またはManagement APIから行える。