Parallels Desktopに一般ユーザーがroot権限を取得できる脆弱性「ParaShells」が判明、修正版はApple Silicon専用でIntel Macには適用できず
要点
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Mac向け仮想化ソフト「Parallels Desktop」において、一般ユーザーがMac本体のroot権限を取得できる脆弱性「ParaShells」が判明した。
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バックグラウンドサービスのアクセス制御不備と、パッケージ展開時の引数インジェクションにより権限昇格が可能となる。
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修正版は「Parallels Desktop 27」とされるが、同バージョンはApple Silicon搭載Mac専用であり、Intel Macには適用できない。
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発見元のJFrogによると、現時点でこの脆弱性を悪用した実際の攻撃は確認されていない。
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Mac向け仮想化ソフトウェア「Parallels Desktop for Mac」において、一般権限のローカルユーザーがMac本体の最高管理者権限(root権限)を不正に取得できる脆弱性が存在することが明らかになった。セキュリティ企業JFrogの調査チームが2026年9月に詳細を公開したもので、「ParaShells」と呼称されている。修正はParallels Desktop 27で提供されているが、同バージョンがApple Silicon搭載モデルのみに対応しているため、Intel製プロセッサを搭載したMacでは修正を適用できない状況となっている。
脆弱性「ParaShells」の概要と想定されるリスク
本脆弱性は、JFrogの脆弱性調査チームを率いるYuval Moravchick氏によって報告された。脆弱性識別番号として「CVE-2026-90894」が割り当てられており、同社による深刻度評価(CVSSスコア)は10点満点中7.8とされている。
この欠陥はローカル権限昇格(マシン上の一般権限から上位の管理者権限を不正に取得すること)に分類されるものであり、ネットワークを介して外部から直接攻撃することはできない。悪用には対象のMac上ですでに一般ユーザー権限のプログラムが実行されている必要がある。
JFrogは、開発環境や共有環境において一般ユーザー権限のコードが実行される機会は日常的に存在すると指摘している。悪意あるHomebrewフォーミュラ(Mac向けパッケージ管理ツールの導入スクリプト)の実行や、汚染されたnpmパッケージの導入、侵害されたCI/CDビルドジョブの動作、あるいは研修や研究室などで複数人が共有するMac内の低権限アカウントなどが脅威の起点になりうるという。なお、影響を受けるのは仮想環境内のOSではなく、ホストであるMac本体である。
権限昇格が発生する技術的仕組み
Parallels Desktopは、仮想マシンパッケージの展開やネットワーク設定などを担うため、「prl_disp_service」と呼ばれるバックグラウンドサービスをMacのroot権限(システムに対する最高位の管理者権限)で常駐させている。
JFrogの検証によると、このサービスが待ち受けるソケット(プログラム間で通信を行う仕組み)が「world-writable(全ユーザーによる書き込み可能)」に設定されており、Mac上のあらゆるプログラムから接続可能となっていた。接続時の認証処理「PrlSrv_LoginLocal」もカーネルから通知されるプロセス情報のみを検証し、Parallelsによるコード署名を確認せず、非管理者アカウントからの接続も受け入れていた。
さらに、仮想マシンアプライアンス(環境パッケージ)の展開処理において、サービスは tar -xf "%1" -C "%2" という1行のコマンドを生成し、Qtの QProcess::splitCommand を用いて引数に分割していた。展開先フォルダのパスは利用者が指定できるため、フォルダ名にダブルクォーテーション(")を含めることでクォートを早期終了させ、後ろに任意のオプションを追加する「引数インジェクション」が可能となっていた。
JFrogの実証では --use-compress-program オプションが挿入され、root権限で動作するtarコマンドから任意のプログラムをroot権限で実行させることに成功した。実証スクリプトではパスワード不要のsudoルールが作成され、rootシェルが開かれたという。実証はApple Silicon搭載MacのParallels Desktop 26.4.0(ビルド57513)で行われたが、仮想マシンが未起動でも製品がインストールされてサービスが稼働していれば成立するとされている。
JFrogはすべての旧ビルドで回帰テストを実施したわけではないとしつつも、アプライアンス抽出テンプレートと全書き込み可能なディスパッチャソケットが残る環境はすべて影響を受ける可能性があるとしている。なお、Mac App Store版はサービスの起動方法が異なる可能性があるものの、根本的なリスクは同質であると説明している。
修正バージョンとリリース情報の状況
JFrogによると、この脆弱性は「Parallels Desktop 27」で修正されている。同社のアドバイザリでは27.0.0未満が影響を受け、27.0.0が修正版とされている。
リリース日を巡っては、JFrogのタイムラインが27.0.0を2026年9月1日公開とする一方、Parallels公式のリリースノートでは27.0.0が8月25日、27.0.1が9月1日とされている。ただし、2026年9月1日以降に出荷された27.0.1(ビルド58670)を導入すれば、どちらの記述に基づいても修正を反映できる。
なお、Parallels側は現時点で本脆弱性に関する声明を出しておらず、公式のセキュリティ修正一覧ページも2025年5月以降更新されていない。
修正版をインストールできないIntel Macの制約
Parallels Desktop 27はシステム要件としてApple Siliconプロセッサを必須とし、対応OSもmacOS Sonoma 14.7以降に限定されている。そのため、Intel製プロセッサを搭載したMacや旧バージョンのmacOSを利用する環境ではParallels Desktop 27をインストールできず、提供されている修正を適用できない状態となっている。