Preferred Networksの「Matlantis PFP v9」、機械学習ポテンシャルの公開ベンチマーク「MLIP Arena」で総合同率1位を記録
要点
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株式会社Preferred Networksは、汎用原子間ポテンシャル「Matlantis PFP」のバージョン9(PFP v9)が、公開ベンチマーク「MLIP Arena」において「MACE-MPA」と並び総合同率1位を獲得したと発表した。
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全5タスク中3タスクで首位を獲得し、参加している全モデルとの1対1の直接対決において過半数のタスクで勝利する優位性を実証した。
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等核二原子分子やバルク状態方程式、過酷な温度・圧力下での安定性評価で1位を達成し、高温燃焼テストでも優れた数値的安定性を示した。
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19種類の水素燃焼素反応を用いた追加評価では、r2SCAN計算モードで3.10 kcal/molの二乗平均平方根誤差を達成し、高い熱化学的精度を示した。
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株式会社Preferred Networks(PFN)は2026年8月17日、材料探索向け汎用原子間ポテンシャル「Matlantis PFP」のバージョン9(PFP v9)について、公開ベンチマーク「MLIP Arena」による詳細な評価結果を公式技術ブログで発表した。他モデルと条件を揃えたPBE計算モードにおいて、PFP v9は有力モデル「MACE-MPA」と並び総合ランキング同率1位を達成したという。
実践的なシミュレーション性能を測る「MLIP Arena」で首位タイに
MLIP Arenaは、機械学習原子間ポテンシャル(MLIP:原子間の相互作用力をAIで高速かつ高精度に計算するモデル)の性能を評価する公開ベンチマークプラットフォームだ。エネルギーや力の静的な予測誤差だけでなく、実践的なシミュレーション環境下でモデルが物理的に妥当な挙動を再現できるかを検証する。
PFP v9は、2026年3月1日時点の公開リーダーボードに基づく比較で総合同率1位となった。さらに、モデル同士を1対1で突き合わせる直接対決(ペアワイズ比較)でも全5タスク中3タスクで首位を獲得した。これにより、アリーナ内のあらゆる競合モデルに対して過半数のタスクで優位に立つことが保証されたと説明している。
5つの評価タスクに見る適応性と数値安定性
MLIP Arenaの各タスクにおいて、PFP v9は基礎物性の再現から極限環境下でのシミュレーションまで幅広い適応性を示した。
96元素を評価する「等核二原子分子(homonuclear_diatomics)」タスクでは、エネルギー保存則からの逸脱度合いやエネルギーの急激な跳びの少なさ、曲線の滑らかさなど全指標で最高性能を記録して1位となった。
材料の圧縮・引張挙動を測る「バルク状態方程式(eos_bulk)」タスクでも、エネルギー差の符号反転回数(1.032)や曲線の蛇行度(1.005)が最小となり、圧縮側の相関スコア(-1.000)など全体として最もバランス良く1位を獲得した。
また、過酷な温度・圧力下での計算継続力を測る「安定性(stability)」タスクでも首位となった。AUC(曲線下面積:破綻せずに計算を維持できる度合い)において加熱下で高い数値を維持しつつ、圧縮下では全モデル中最高を記録した。条件が厳しくなっても急激に劣化しない安定性が確認されたという。
一方、結晶構造をスケーリングする「エネルギー・体積スキャン(wbm_ev)」タスクは5位だったが、1000構造すべてで計算を正常終了した。高温反応を扱う「燃焼(combustion)」タスクでは総合4位となったものの、5回試行の平均で最終的な重心のズレが最小となり、優れた軌道制御を示した。水素燃焼温度(2380〜3000 K)下で持続的に水を生成したが、最終的な生成物収量は最上位モデルに及ばず、反応エネルギー推定に改善の余地があるとしている。
水素燃焼素反応による熱化学精度の決定論的検証
燃焼シミュレーションの確率的なばらつきを補完するため、PFNはMACE-MPAの原著論文に基づく追加ベンチマークも実施した。19種類の水素燃焼素反応を対象に、実験値に対する反応エネルギーのRMSE(二乗平均平方根誤差:予測のズレの大きさ)を算出している。
検証の結果、PFP v9のr2SCAN計算モードが3.10 kcal/molと最も高い精度を達成した。標準的なPBE計算モードでもRMSEは7.88 kcal/molとなり、MACE-MPA-0(11.15 kcal/mol)を約29%上回った。さらに、r2SCANモードの適用によりPBEモード比で誤差が56%低減することも確認されたという。
同社は、PFP v9がシミュレーションの数値的安定性のみならず、反応エネルギーの熱化学的精度においても高い水準にあることを実証したとしている。