RingCentral、全社でChatGPT WorkとCodexを活用する「AIネイティブ」な開発・運用体制を構築
要点
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米RingCentralが、業務向け生成AI「ChatGPT Work」とコード生成支援AI「Codex」を全社に導入し、開発から運用までのプロセスを刷新していることが明らかになった。
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CEO室主導の社内コンテストでは、非技術部門や経営幹部を含む数千人が参加し、企画からCI/CDまでの一連の開発ライフサイクルをAIとともに完結させた。
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同社が展開する音声AI製品群の開発加速に同手法を応用するほか、プロジェクト管理部門(PMO)では複数ツールの情報を集約する業務基盤としてAIを活用している。
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現場のリーダーらは、AI導入の目的を「エンジニアの代替」ではなく「エンジニアの能力拡張」と位置づけ、人間が設計判断や検証に注力する体制を敷いている。
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OpenAIは2026年8月12日、ビジネス通信大手の米RingCentral(リングセントラル)における自社AI製品の活用事例を公式ブログで公開した。同社はChatGPT WorkおよびCodexを導入し、エンジニアリング組織だけでなく業務運用部門を含む全社規模で「AIネイティブ」な働き方への移行を進めているという。
全社参加型コンテスト「AI-Native Challenge」の実施
RingCentralは、ビジネス向け通信プラットフォームを展開し、年間売上高26億ドル超、数千人の従業員を擁するエンタープライズ企業である。同社は全社的なAIリテラシー向上を目的に、CEO室の主導で「AI-Native Challenge(AIネイティブ・チャレンジ)」と称する社内取り組みを実施した。
この取り組みでは、参加者全員にChatGPT WorkとCodexが提供され、ワークフローの指定や制約を一切設けない自由な形式で、一連のプロジェクトを最初から最後まで完成させることが求められた。
単なるプログラミングの演習にとどまらず、企画立案、コード実装、テスト、ドキュメント作成、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー:ソフトウェアの変更を自動でテスト・配信する仕組み)、反復改善に至る開発ライフサイクル全体をAIとともに行う内容となっている。結果として、非技術部門のスタッフや経営幹部を含む数千人の従業員が機能するプロジェクトを提出し、参加者のほぼ全員が動作可能なリポジトリ(ソースコードの保管場所)を作成したという。
自社AI音声プロダクト群の開発スピードを加速
同社はこの社内コンテストで培った手法を、顧客向け製品の開発現場にも直接応用している。
具体的には、Codexを活用したアプローチにより、同社が展開するAgentic Voice AI(自律的にタスクを遂行する音声AI)ポートフォリオの開発を加速させている。対象となる主な製品は以下の3つである。
- RingCentral AI Receptionist(AIR): AIによる電話受付・応対機能
- AI Virtual Assistant(AVA): 仮想アシスタント機能
- AI Conversation Expert(ACE): 会話分析・対話支援機能
同社プレジデント兼最高執行責任者(COO)のキーラ・マカゴン(Kira Makagon)氏は、「本物のAIツールを全員の手に渡すことで、会社全体がプロダクト組織になる」と述べており、アイデアが生まれてから実際の機能としてリリースされるまでの期間を大幅に短縮できていると説明している。
PMO業務を刷新し「運用のOS」として活用
AIネイティブなアプローチは、エンジニアリング領域にとどまらず非技術部門へも広がっている。同社のプログラム管理オフィス(PMO: 複数のプロジェクトを横断的に統括・管理する組織)では、ChatGPT Workを用いてプロジェクト管理の基盤となるワークフローを構築した。
従来、メモやチャット履歴に散在していた情報はAIによって集約され、進捗追跡、レポーティング、リリースガバナンス、ナレッジ共有の各プロセスが再構築されている。
具体的な活用例として挙げられているのが、ステータスレポートの自動生成である。PMOチームは、プロジェクト管理ツールのJira、Googleスプレッドシート、顧客関係管理(CRM)システムなど複数の情報源から課題を抽出し、通知を自動生成する仕組みを整えた。これにより、会議の場で「何が変わったか」を一から確認し合う状態から、課題(ブロッカー)や担当者、次に取るべきアクションがあらかじめ定義された状態で会議を開始できるようになったという。
PMOの研究開発効率化部門シニアマネージャーを務めるヴァニート・セス(Vaneet Seth)氏は、ChatGPT Workによってプロジェクトの文脈が一元化され、それを具体的なアクションや実行へと変換できるようになったとコメントしている。手作業による調整が減ったことで、より多くのプロジェクトを高精度に管理できる体制が整った。
「エンジニアの代替」ではなく「増幅」
今回の取り組みを指揮した同社のエンジニアリングリーダーは、一連の挑戦から得られた明確な教訓として、「AIネイティブな開発の本質はエンジニアを置き換えることではなく、エンジニアを拡張・増幅することにある」と指摘している。
AIが開発サイクル全体を高速化する一方で、人間は要件の定義、ビジネスコンテキストの提供、アーキテクチャ上の意思決定、そして成果物が正しく動作するかのテストと検証を担当する。人間が意思決定のループ(Human-in-the-loop)に留まり続けることが重要であるとしている。
OpenAIは、エンジニアリングと運用の双方において、従業員にAI活用の自由度を与えることが個人のスキル向上だけでなく、企業を支える業務インフラそのものの構築につながる実例であるとしている。