Sakana AIが製品を相次ぎリリースする背景、プロダクト責任者・大村氏が語る研究から事業化への転換
要点
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東京のAI企業Sakana AIは、2026年3月の「Sakana Chat」開始から「Sakana Marlin」など4製品を相次いで発表した。
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プロダクト開発責任者の大村宗太氏は、顧客対応を行うAppliedチーム内で2025年夏に始まった有志の議論がチーム発足の契機になったと明かした。
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同社が展開する4製品は、主力AIモデル「Namazu」を搭載したチャットや翻訳のほか、複数モデルを連携させる技術や経営幹部向け相談サービスなど多岐にわたる。
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同社は「Research(研究)」「Product(製品)」「Applied(応用)」の3チームが連携し、技術開発から製品化、個別顧客支援までを一体で進めている。
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AIの研究開発で知られてきた東京のスタートアップ企業Sakana AIが、2026年3月の「Sakana Chat」の公開を皮切りに、短期間で4つの製品を相次いでリリースしている。同社のプロダクト開発責任者である大村宗太氏がインタビューに応じ、研究重視だった同社が急ピッチで製品展開を進める背景や、プロダクトチーム立ち上げの経緯について明らかにした。
変化の激しい業界への参画とSakana AIを選んだ理由
大村氏は、デロイト トーマツ コンサルティングでITシステム再構築等に従事した後、暗号資産(暗号技術を用いて電子的に記録され、決済などに使用できる財産的価値)の取引所を運営するコインチェックでプロダクトを統括するビジネスリードを務めた経歴を持つ。同氏は、NFT(偽造困難な独自の価値を持つデジタルデータ)やWeb3(ブロックチェーン技術を用いた分散型のインターネット構想)が注目された業界での経験から、変化の激しい分野に身を置く魅力に惹かれたという。
その後、2025年に最も変化の激しい分野としてジェネレーティブAI(テキストや画像などを自動生成する技術)業界を選択し、同年7月にプロダクトマネージャーとしてSakana AIに参画した。多くのAI企業の中で同社を選んだ決定打は、本社が日本にあることだった。外資系テック企業の日本支社とは異なり、日本国内で意思決定を行い、製品開発の核を担いながらグローバル市場に挑戦できる点に大きなメリットを感じたと述べている。
有志の議論から始まったプロダクトチームの発足
大村氏が参画した当時、Sakana AIには基礎的なAIモデルの開発を担う「Researchチーム」と、個別企業の課題解決を行う「Appliedチーム」の2つしか存在していなかった。Appliedチームによる個々の顧客への対応は価値が高いものの、同じ技術の価値をより多くの顧客に同時に届ける製品化の可能性を模索し、2025年夏頃からチーム内の若手メンバーを中心に自主的な議論を開始した。
その後、共同創業者兼会長の伊藤レン氏からモデル開発の事業化について相談を受けたことを機に、プロダクト事業の成長計画を提示。Appliedチームからの半独立的な活動を経て、Sakana Chatのリリース決定に伴い、2026年2月に完全に独立したプロダクトチームが発足し、大村氏がその責任者に就任した。これにより、研究開発を強みとしていた同社が、製品開発企業としての側面も持つようになった。
特徴の異なる4つの製品展開
同社が短期間で市場に投入した4つの製品は、それぞれ異なるアプローチや技術を採用している。
まず、2026年3月に公開された「Sakana Chat」は、同社の最上位主力モデル「Namazu」を搭載した対話型サービスだ。日本発の使いやすいチャットAIを目指して開発された。その姉妹製品である「Sakana Translate」も同様にNamazuをベースにした翻訳サービスである。
また、「Sakana Fugu」は、複数のAIモデルを連携して協調動作させるオーケストレーション技術を用いたモデルである。単一のモデルに処理を委ねるよりも高い性能を発揮する特徴を持ち、現在は開発者向けにAPI(ソフトウェア間で機能を連携するための接続窓口)を通じて提供されている。
さらに、「Sakana Marlin」は、長時間にわたり深い推論を行うための探索手法「AB-MCTS」を用いた高品質なリサーチサービスである。将来的には、経営幹部の相談相手として機能する仮想の最高戦略責任者(CSO)のようなAIサービスへの発展を目指しているという。
3つのチームによる連携体制
現在、同社では「Research」「Applied」「Product」の3つのチームが日常的に連携して事業を推進している。Researchチームが新しい技術を生み出し、Productチームがそれを製品化して収益に結びつける役割を担う。大村氏によると、「Sakana Fugu」のモデルは、この両チームによる日常的なコミュニケーションから生まれたという。
また、個別対応を行うAppliedチームとも連携しており、プロダクトを利用する顧客がより手厚いサポートを求めた場合はAppliedチームに引き継ぎ、逆にAppliedチームの顧客が製品に関心を示した場合はプロダクトを提供するなど、柔軟に相互連携を図っていると説明している。