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The Hacker News

セキュリティ運用の現場でAI導入が急加速、調査時間25分短縮も「内製化の挫折」と「人間の確認」が課題に──2026年調査

要点

  • セキュリティチームの40%が日常業務でAIを活用しており、56%が導入に向けた検証を進めている。

  • 深刻な人手不足によりアラートの28%が放置され、その60%で重大な被害に発展した経験が報告されている。

  • AI導入チームの72%が調査時間を25%以上(1件あたり約25分)短縮できたと回答している。

  • AIツールの内製を試みた組織の46%が開発を断念または商用ツールへ移行しており、自作の難しさが浮き彫りとなった。

  • 完全な自律運用を許可する組織は0%であり、57%のチームが依然として全件で人間による判断確認を行っている。

  • セキュリティ企業の米Prophet Securityは2026年8月27日、サイバーセキュリティ専門家250人以上を対象とした調査レポート「State of AI in Security Operations 2026」のデータを公開した。日々急増するセキュリティアラートへの対応に追われる現場において、AIの導入が急速に一般化している実態が明らかになった。レポートによると、すでに4割のチームが日常業務でAIを稼働させており、調査時間の短縮などで成果を上げる一方、ツールの内製化における挫折や、運用時の信頼性確保といった課題にも直面しているという。

膨大なアラートに追われる現場と見落としの被害

調査結果によると、セキュリティチームが受け取るアラート数は1日平均100件に上り、大規模組織では1,000件近く、全体の4分の1以上の組織が1日500件以上のアラートに対応しているという。一方で現場の人員体制は追いついておらず、大企業を除けば多くの組織が10人未満の少数体制で運用されている。

この人員不足により、1件のアラートを徹底的に調査するために平均75分を要し、着手されるまで1時間近く放置されるケースも珍しくないと報告されている。攻撃者がネットワークへ侵入してから横方向へ侵害を拡大するまでの時間は平均29分とされており、検知から対処までに2時間を要する現状は、重大な封じ込めリスクとなっている。

その結果、全アラートの約28%が一度も調査されないまま放置されている実態が判明した。さらに、回答者の60%が見落としたアラートが後にデータ侵害やシステム停止などの重大インシデントにつながったと回答し、そのうち3分の1は過去1年間で同様の事態を3回以上経験していた。中には、確認する人的リソースがないという理由で、最大40%の組織が特定のアラート通知そのものを意図的に無効化しているケースもあると指摘されている。

攻撃者のAI悪用と防御側の導入目的

AI導入の背景には、攻撃者側の動きもある。回答者の56%が過去1年間でAIを活用したサイバー攻撃の増加を実感しており、特に金融機関や医療機関で顕著だという。主な攻撃手法としては、AIが生成したフィッシングメール、ディープフェイクを用いた音声や動画の詐欺、クレデンシャルスタッフィング(入手した認証情報リストを用いて自動で大量ログインを試みる攻撃)、AI生成マルウェアなどが挙げられている。

こうした状況を受け、セキュリティ組織にとって「AIシステムの保護」と「防御におけるAI活用」が、従来のクラウドやデータ保護を抑えて最優先事項となった。AIを導入する目的としては、対応時間の短縮(73%)や検知範囲の拡大(71%)が上位を占め、限られた人員での業務遂行(56%)やアナリストの疲弊防止(37%)も主要な要因となっている。

調査時間25分短縮の効果と内製化の限界

実際にAIを運用しているチームでは、具体的な成果が出ているという。導入済みチームの72%が、調査時間を25%以上削減できたと回答した。これはアラート1件あたり約25分の時間短縮に相当する。また、24時間体制の監視強化や誤検知の低減、専門人材が高度な業務に集中できる環境の整備といった効果も報告されている。

一方で、AIツールの自社開発(内製化)には高いハードルが存在することが判明した。AI利用者の72%が独自のAIツール構築を試みたものの、調査時間の削減効果は商用製品を採用した場合と同等(内製チーム73%に対し全体72%)にとどまった。さらに、内製を試みたプロジェクトの46%が、本番環境への導入に至らず開発が中断されるか、最終的に商用製品へ置き換えられている。

人間の判断支援と業務内容の高度化

AIの出力に対する信頼性は高いと評価されているものの、運用の主導権は依然として人間が握っている。回答者の57%は、アラート対応を完了する前に人間がAIの判断を全件レビューする運用を採用しており、完全に自律的な権限を与えている組織は0%であった。現在のAIは主に、人間が実行すべき対応策の推奨(44%)や、リスクの低い自動修復(30%)を行うアシスタントとして活用されている。

AIによって効率化された時間は、脅威ハンティング(システム内に潜伏する未知の脅威を能動的に探索する活動)などの高度な業務に充てられている。定期的に脅威ハンティングを実施している組織の38%が、既存の自動検知ツールをすり抜けた攻撃を発見したと回答しており、週1回以上実施するチームでは発見率が49%に達している(未実施チームの発見率は8%)。

これに伴い、人員削減への懸念とは裏腹に、回答者の57%がチーム規模は現状を維持すると見込んでおり、9%は増員を予定している。アラートのトリアージ(優先度や緊急度を判別して選別する初動対応)などの定型業務をAIが引き受けることで、人間のアナリストはインシデント対応や防御テストといった、より専門的で戦略的な役割へ移行しているという。

導入を阻むプライバシーと説明可能性の課題

AIの本格展開にあたっての障壁としては、規制やプライバシーへの懸念が最も多く挙げられた。回答者の44%がデータのプライバシー保護やモデル学習へのデータ利用方法に懸念を示し、41%がAIが結論に至った根拠を把握する「説明可能性」の確保に苦慮していると答えている。

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