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OpenAI Blog

SentinelOne、OpenAI「Daybreak」導入でマルウェア解析を数週間から約8時間へ短縮

要点

  • 米SentinelOneがOpenAIのサイバーセキュリティ向け製品「Daybreak」を導入し、マルウェア解析期間を従来の4〜6週間から約8時間へ短縮した。

  • 人間レベルの高度なリバースエンジニアリング出力を約8時間で得られるようになり、調査可能な検体数が大幅に拡大した。

  • 最高AI責任者は、自動化が進む中でもアーキテクチャ変更などへの説明責任は人間が負い続ける必要があると強調した。

  • 多数の検体を比較分析することで脅威間の共通部品や相関関係が可視化され、先回りの防御が可能になった。

  • 社内の開発チーム全体に高度なセキュリティ専門知識を行き渡らせ、コード作成段階から脆弱性に対応する体制を目指している。

  • 米サイバーセキュリティ大手のSentinelOne(センチネルワン)が、OpenAIのセキュリティ特化型製品「Daybreak」を活用し、従来は4〜6週間を要していた高度なマルウェアのリバースエンジニアリング作業を約8時間へ短縮したことが明らかになった。OpenAIが2026年10月14日付の公式ブログで事例として公表した。AIによる高速解析により、セキュリティ研究チームはこれまで扱いきれなかった膨大な検体の深層調査を行えるようになり、脅威間の関連性を捉えた先回りの防御態勢を構築しているという。

解析期間を数週間から約8時間へ短縮、調査能力を大幅に拡張

マルウェア(不正な動作を行う悪意あるソフトウェア)の内部構造や挙動を解明するリバースエンジニアリング(プログラムを逆解析して仕組みを読み解く手法)は、防御側にとって不可欠な工程だ。しかし、高度な検体の解析は極めて緻密であり、ソフトウェアを分解して動作を確かめ、新たな情報が得られるたびに手戻りが発生する。そのため、熟練の研究者であっても1つの検体の解析に4週間から6週間ほどの期間を費やすのが一般的だった。

OpenAIが発表した事例によると、SentinelOneは防御側組織向けに同社モデルを提供する製品「Daybreak」を採用した。その結果、トップクラスの研究者が手掛ける水準のリバースエンジニアリング出力を、AIが約8時間で生成できるようになったという。

SentinelOneで最高AI責任者(CAIO)を務めるグレゴール・スチュワート(Gregor Stewart)氏は、深層解析に要する時間が劇的に短縮されたことで、研究チームにはより多くの検体を調査し、複数のサンプルから得られた知見を横断的に結びつける余力が生まれたと説明する。単独の調査では見落とされがちだった検体同士の関係性が明らかになり、スチュワート氏はこれを「これまではコスト的に決して得ることができなかった種類のインテリジェンス」と表現している。

自動化の適用範囲と人間に残る「説明責任」

Daybreakは、サイバーセキュリティ業務に従事する防御側の担当者にOpenAIのモデル群へのアクセスを提供する製品である。SentinelOneではこの機能をマルウェアの挙動検証や逆解析に活用し、研究者の調査能力を拡張している。

一方でスチュワート氏は、AIによる自動化を推進する上でも、最終的な結果に対する責任の所在は人間側にあると明言している。同氏は「唯一自動化できないのは説明責任(accountability)である」と指摘し、システムの基本設計に関わるアーキテクチャの変更といった重大な意思決定には、依然として人間の目による確認が不可欠であると説明する。これに対し、ソフトウェアの根本的な動作に影響を与えない局所的な修正(ポイントフィックス)など、リスクが限定的な作業こそが自動化に適した領域であるとの見解を示している。

検体横断の比較により脅威の関係性を把握、プロアクティブな防御へ

従来の運用環境では、リソースの制約から深い調査を行えるのは、発見された脅威の中でも特に重要、あるいは関心度の高いごく一部の検体に限られていた。スチュワート氏によれば、同社がリバースエンジニアリングを実施できたソフトウェアの数はごくわずかであり、比較できるサンプルが少なかったため、脅威同士の潜在的なつながりを見つけ出す機会も乏しかったという。

Daybreakによる高速な解析環境が整備されたことで、研究者は多様なマルウェア検体同士を比較し、共通して利用されているコンポーネント(構成部品)を探索できるようになった。例えば、一見すると無関係に見える2つの検体から同一の部品が検出された場合、それが顧客のインシデント調査を進める上での重要な手がかりになるという。

多数の検体を比較検討することで、脅威全体の広範な相関関係が浮き彫りになる。スチュワート氏は「リバースエンジニアリングの高速化により、マルウェア情勢のより大きな領域をマッピングし、その変化のペースに追従することが可能になった。これにより研究者は、脅威がどのように結びつき、それらの関係性がどのように進化しているのかについて、より明確な全体像を把握できる」と語る。脅威の全体像が見えることで、より早い段階から先手を打ったプロアクティブ(先回り)な防御が可能になるという。

専門性の社内民主化と開発現場への展開構想

SentinelOne社内では、OpenAIのサイバーセキュリティ機能を導入したことで、高度なセキュリティ業務に関与できるメンバーの裾野が広がっているという。スチュワート氏によると、わずか数カ月前までは業界全体で極端に不足していたような高度な専門知見に、現在では社内のほぼ全員がアクセスできる環境が整いつつある。これにより、限られた専門家グループだけに依存することなく、各チームの担当者が自ら問題の調査を進められる体制への転換が進んでいる。

さらにスチュワート氏は、このAIによるサイバー解析能力をソフトウェアのコード作成プロセスそのものへ統合していく構想を明かしている。開発者がコードを構築するまさにその段階でセキュリティ上の課題を検出し対処できるようにすることで、製品開発の上流工程から安全性を担保する狙いだ。スチュワート氏は「OpenAIは開発チームの全員に専門家レベルのサイバー能力を提供することで、防御側に優位性をもたらしている」と総括している。

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