ドイツ保険大手MRH Trowe、約400名規模のセルフサービス型AIエージェント基盤をAWS上に構築
要点
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ドイツの保険仲介大手MRH Troweが、金融規制に準拠したセルフサービス型AIエージェントの運用基盤を構築した。
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運用開始初月で約400名の従業員へ展開し、1席あたりの初期コストは約14ドルに抑えられた。
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各チームでのシャドーAIや機密データ漏洩を防ぎつつ、深い専門知識がなくても従業員自身がエージェントを作成できる環境を整備した。
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基盤にはオープンソースSDK「Strands Agents」、「Amazon Bedrock AgentCore」、チャットUI「LibreChat」を組み合わせている。
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今後はリソース最適化やスケジュールに応じたスケーリングにより、インフラコストをさらに約40%削減できる見通しだという。
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Amazon Web Services(AWS)は2026年9月17日、公式のAWS Machine Learning Blogにおいて、ドイツの大手産業・企業保険ブローカーであるMRH Troweにおけるセルフサービス型AIエージェントの導入事例を公開した。厳格なデータ保護やコンプライアンスが求められる金融サービス業界において、全社的なガバナンスと従業員による自由なAI活用を両立させた取り組みだという。
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同社は運用開始からわずか1か月で約400名の従業員へ安全なアクセス環境を提供し、初期費用を1ユーザーあたり約14ドルに抑えながら本番稼働を実現したと説明している。
現場主導のAI活用と統制の両立が課題に
MRH Troweは、ドイツ、スイス、オーストリアを中心に事業を展開する産業・商業保険ブローカーである。積極的な事業拡大と企業買収を進めるなか、ドイツの同業他社に先駆けて全社インフラの完全クラウド化を推進しており、AWSを優先パートナーとして位置づけている。同社では業務プロセスの効率化と合理化を目的として、AIの積極的な活用を戦略的目標に掲げていた。
保険業界では日常業務における生成AI活用のニーズが急速に高まっていたが、各部門が個別にAIツールの試行を始めたことで、管理外のツールが乱立する「シャドーAI」の発生や、機密性の高い顧客情報・保険データの外部流出といったリスクが懸念されていた。
このため同社には、高度な技術スキルを持たない従業員でも迅速にAIエージェントを自作・活用できる手軽さを提供しつつ、金融業界の厳格な規制に適合する安全かつ中央管理された環境を維持するという、相反する課題の解決が求められていた。
MRH Troweは運用のビジョンとして「あらゆる問い合わせに対して人間の介入前にまずAIが初期回答を行い、反復的な定型業務はこれまでそれを担当していた従業員自身が自動化する」という方針を掲げている。
単純なチャットツールでは満たせなかった4つの要件
同社の検証によると、一般的なチャット型AIインターフェースでは、業務で求められる以下の4つの要件を満たすことができなかったという。
- 社内データに基づくコンテキスト応答:一般的なモデル知識だけでなく、組織内部のデータに基づいた回答を生成すること。
- 複数ステップのワークフロー処理:情報の収集から推論、実行に至る一連のアクションを自律的に遂行すること。
- 社内システムとのセキュアな連携:社内リポジトリや既存の基幹システムへ安全に接続できること。
- 一元化されたガバナンス:部門ごとに分散したツールではなく、全社で統一された管理環境を提供すること。
単なる会話応答にとどまらず、社内システムと連携して一連のタスクを自動処理する「AIエージェント」の仕組みが不可欠となっていた。
3つの技術要素を組み合わせたアーキテクチャ
MRH Troweはこれらの課題を解決するため、役割の異なる3つのテクノロジーを統合したシステムを構築した。
- Strands Agents:数行のコードでエージェントを作成できるオープンソースのソフトウェア開発キット(SDK)。オーケストレーションや推論パターンの処理を担い、開発者のローカル環境から本番環境までシームレスにスケールさせることが可能となっている。
- Amazon Bedrock AgentCore:本番環境において安全かつスケーラブルにエージェントを実行・管理するための基盤。
- LibreChat:エンドユーザーがセキュアに操作できるオープンソースのチャットユーザーインターフェース。
これらの組み合わせにより、ドイツの金融業界で要求されるデータレジデンシー(国内でのデータ保持要件)や各種コンプライアンス基準を完全にクリアした。
1席あたり14ドルの低コスト運用と今後の最適化
本番稼働初月における運用コストは、1席(ユーザー)あたり約14ドルを記録した。全社規模での展開としては極めて費用対効果の高い水準に抑えられている。
さらに同社では、今後のリソース割り当ての適正化(ライトサイジング)や、利用時間帯に応じたスケジュールスケーリングを実施することで、インフラコストを現状から約40%削減できる見通しが立っているとしている。規制の厳しい金融機関においても、統制を保ちながら現場主導で自律型AIエージェントを大規模展開できるモデルケースとして注目される。