投資銀行Jefferies、AWS上でエージェント型AIを用いた取引アシスタントを構築——トレーダーによるリアルタイムデータ分析を可能に
要点
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グローバル投資銀行のJefferiesが、AWS上で動作するエージェント型AIを用いた取引アシスタントの構築事例を発表した。
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従来の取引分析ではIT部門への依頼やダッシュボードの構築が必要で、意思決定までに数日から数週間の遅れが生じていた。
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新システムは、トレーダーが自然言語で質問するだけで、AIがSQLを自動生成・実行してリアルタイムにデータを分析する。
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システムの技術スタックには、Amazon BedrockやAnthropicの「Claude」に加え、安全なデータ接続規格「Model Context Protocol(MCP)」が採用されている。
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グローバルな総合投資銀行であるJefferies(ジェフリーズ)は2026年7月23日、AWS(Amazon Web Services)の機械学習ブログにて、フロントオフィス(顧客と直接対面して取引を行う部門)の株式トレーディングデスク業務を最適化するため、エージェント型AI(自律的に計画を立てて行動を実行する人工知能)を導入した取引アシスタントの構築事例を公表した。本システムは、トレーダーがコーディングスキルなしでリアルタイムのデータ分析を実行し、即座に取引上の意思決定に役立つ洞察を得られるようにすることを目指したものである。
従来のトレーディングデスクが抱えていたデータアクセスの課題
投資銀行のフロントオフィスにおける株式トレーディング業務では、数百万行に及ぶ膨大なデータの中から、顧客の行動パターンや取引のトレンド、市場の動向をリアルタイムで把握し、瞬時に意思決定を下すことが求められる。しかし、実際の業務においてトレーダー自身には、こうしたデータ分析システムを自ら構築・維持するための時間的余裕がなく、また専門的なコーディング能力も持ち合わせていないことが多い。
データ自体は複数の可視化ツールに分散して存在しているため、全体の動きを網羅的かつリアルタイムに見渡すことは非常に困難であった。そのため、これまでは詳細な分析を行うために専門知識を持つアナリストに依頼するか、あるいはITチームに依頼して専用のダッシュボードを個別に開発してもらう必要があった。このプロセスには数日から数週間という長い時間がかかり、実際に利用可能なデータが存在しているにもかかわらず、それが迅速な意思決定に反映されないという、データの蓄積と実行の間のギャップが拡大し続ける原因となっていた。
AWSとオープン標準技術を組み合わせた解決策のアーキテクチャ
Jefferiesはこの課題を克服するため、株式トレーディングデスクの業務にエージェント型AIを適用し、インフラを最適化するプロジェクトに着手した。AWS上で構築された取引アシスタントは、トレーダー自身がコードを書いたり、IT部門の作業待ち行列に並んだりすることなく、かつ極めて高い正確性を維持したまま、手元でリアルタイムのデータ分析を実行できる環境を提供する。
本ソリューションの基盤となるのは、AIエージェントの推論、計画、行動のオーケストレーション(複数のシステムの統合的な制御)を行う開発者向けSDK(ソフトウェア開発キット)である「Strands Agents」である。このSDKを通じて、大規模言語モデル(LLM)や、生成AIプラットフォームである「Amazon Bedrock」、および「Amazon Bedrock Knowledge Bases」が組み合わされている。
さらに重要な技術要素として、AIエージェントがさまざまなデータソースやツールと安全に接続できるようにするためのオープン標準規格である「Model Context Protocol(MCP)」が採用されている。これにより、アシスタントは既存の複雑なデータ環境とセキュアに連携することが可能になった。
取引アシスタントの動作メカニズムとユーザー体験
構築された取引アシスタントは、株式トレーダーが日常的に使用する自然言語のテキストを入力として機能する。システムの中心部にはドメイン(金融取引分野)に特化したエージェントが配置されており、ユーザーとの会話を制御する。
また、MCPベースのツール群が配備されており、これによりエージェントは取引データの格納庫や、FIX(金融機関の間で株式などの取引情報をやり取りするための標準的な通信規約)のメッセージファイル、さらには超高速処理が可能なインメモリデータベースなど、多岐にわたるデータソースに直接アクセスすることができる。
トレーダーが日常の自然な言葉でアシスタントに問いかけると、Amazon Bedrockを介してAnthropic社の大規模言語モデルである「Claude」が呼び出される。Claudeはトレーダーが入力した自然言語の意図を正確に解釈し、該当するデータを抽出するためのデータベース操作言語である「SQL」を自動で生成する。生成されたSQLはバックエンドのデータソースに対して即座に実行され、抽出された結果が再び自然言語へと翻訳されてトレーダーの画面に表示される。
このシステムは対話型のインターフェースを備えているため、トレーダーはチャットを通じてさらに踏み込んだ質問を行ったり、関連するデータの詳細を順次深掘りしたりすることができる。さらに、アシスタントはセッション(一連の接続単位)の開始から終了までの会話全体の文脈(コンテキスト)を保持するため、対話の進捗に応じて、より深い分析につながる追加の洞察や次にとるべきアクションの提案を動的に行うことができるという。