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AWS ML Blog

Tradeshift、自社製BIからエージェント型AI「Amazon Quick」へ移行 クエリの30倍高速化とTCOの40%削減を実現

要点

  • 電子請求書プラットフォームを展開するTradeshiftが、社内BIツールからAWSのエージェント型AIワークスペース「Amazon Quick」への移行を発表した。

  • 従来の自社製BIツールは、データ量の増加に伴う処理制限や高いメンテナンスコストが課題となっていた。

  • 移行により、データ分析のクエリ応答時間が最大30倍高速化したほか、システムの総所有コスト(TCO)を40%削減することに成功した。

  • 自然言語によるデータ検索や、複数ソースからの自動レポート作成、ワークフローの自動化機能により、社内外の業務効率化と新たな収益化を実現している。

  • 電子請求書や買掛金管理のプラットフォームを提供するTradeshiftとアマゾン ウェブ サービス(AWS)は2026年7月20日、Tradeshiftが従来の自社製ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを廃止し、AWSのエージェント型AIワークスペース「Amazon Quick」を導入したことを共同で発表した。BIツールとは企業内のデータを分析して意思決定を支援するソフトウェアのことで、今回の移行により、データ処理のパフォーマンス向上とコスト削減に加え、データ分析業務の自動化が実現したという。

従来のインハウスBIツールが抱えていた限界

Tradeshiftは、世界70カ国以上の買い手と売り手を結び、数百万件の取引を処理するクラウドベースの買掛金管理および電子請求書の適合性プラットフォームを運営している。市場の双方を支援する性質上、一般的な企業とは異なる多様なデータ分析のニーズを抱えていたが、数年間にわたり自社で独自に開発したBIツールを利用してきた。

しかし、データ量の増大と顧客の期待の高まりに対し、自社ツールの制約が大きな障害となっていた。このツールの維持・管理だけでフルタイム従業員1名の稼働の約50%が割かれており、新製品のイノベーションに回すべきエンジニアリングリソースが奪われていた。また、システム上の仕様として、データベースに情報の検索や抽出を求める命令文であるクエリの1回あたりの処理が最大1万行に制限されていた。さらに、定期実行するレポートの容量上限は25MB、過去データの保持期間はわずか6ヶ月間に制限されていたため、長期間のデータに基づいた大規模なトレンド分析や、異常検知、将来の予測モデリングといった高度なデータ活用を行うことは不可能だった。

これらのデータ分析を日常的に必要とする財務ユーザーにとって、専門的な技術スキルなしで高度な統計分析やデータ処理を行うことは困難であり、技術的な知識と実業務との乖離も問題視されていた。

業務のボトルネックとセルフサービスの不在

技術的な制約だけでなく、業務プロセスにおける効率の悪さも浮き彫りになっていた。カスタマーサクセスやデータ分析、営業などの各チームは、毎週多くの時間を手作業によるレポート作成に費やしていた。データベースからCSVファイルをエクスポートし、表計算ソフトのExcelマクロを実行し、手作業でレポートを組み立てる作業が常態化していたためだ。

一方で、外部の顧客企業からも、自社の買掛金処理についてより深い分析結果を得たいという要望が高まっていたが、顧客が自らデータを検索して分析できる仕組みが存在しなかった。そのため、顧客が詳細なレポートを必要とするたびに、TradeshiftのエンジニアリングチームやBIチームが個別にカスタムレポートを作成せざるを得ず、これが双方の意思決定を遅らせる大きなボトルネックとなっていた。

エージェント型AI「Amazon Quick」による解決

これらの課題を打破するため、Tradeshiftが導入したのがAWSの「Amazon Quick」である。Amazon Quickは、企業のあらゆるアプリケーション、ツール、データソースと接続し、業務を支援するエージェント型AIワークスペースだ。

Amazon Quickの導入により、Tradeshiftは手作業の排除、ビッグデータに対応する高いパフォーマンスの確保、ユーザーが直接データにアクセスして操作できる環境の構築、そしてAIを活用したデータアクセスの民主化を目指した。

特に注目されるのが、AI技術を活用した自動化機能だ。同社は、ノーコードで複数ステップのワークフローを自動化できる「Amazon Quick Flows」と、複数の情報源から包括的な長編の分析レポートを自動作成するディープリサーチエンジン「Amazon Quick Research」を採用した。これにより、データセットの更新スケジュール設定やレポートの配信トリガー、定期的な分析タスクの実行といったプロセスを、手作業なしで自動で処理できる仕組みを整えた。

また、日常的な言葉でビジネスデータについて質問し、即座に回答を得られるチャットエージェント機能も備えており、専門知識のないユーザーでも会話感覚でデータから洞察を引き出せるようになった。

移行がもたらした劇的な効果

Amazon Quickへの移行は、Tradeshiftに大きな成果をもたらした。まず、データ分析のクエリ応答時間は、従来の自社ツールと比較して最大30倍高速化された。これにより、膨大な取引データもストレスなく瞬時に分析できるようになった。

さらに、自社ツールの開発・維持コストが不要になったことなどから、システムの導入から保守までに発生する全費用であるTCO(総所有コスト)は40%削減された。削減されたエンジニアリングリソースは、本来の製品開発や機能刷新に充てることが可能になった。

最も大きな変化は、同社が提供するサービス内に分析機能を組み込む「組み込みアナリティクス」が、単なるサポート機能から収益を生み出す新たな独立した製品へと進化した点だ。セルフサービスで高度な分析レポートを顧客自身が出力できるようになり、顧客満足度の向上と同時に新たなビジネス機会の創出につながっている。

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