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WindowsのWinSock補助ドライバに権限昇格の脆弱性「CVE-2026-68820」が判明、CISAは悪用を確認

要点

  • Windowsのネットワーク通信関連ドライバ「Windows Ancillary Function Driver for WinSock」に、メモリ解放後使用(Use-After-Free)の脆弱性「CVE-2026-68820」が確認された。

  • 認証済みの攻撃者がローカル環境で悪用した場合、システム上で特権昇格を実行できる状態になる。

  • 米マイクロソフトによるCVSS v3.1基本値は「7.0(HIGH)」と評価されている。

  • 米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は本脆弱性を既知の悪用された脆弱性カタログに追加し、悪用状況を「active(アクティブな悪用あり)」と評価した。

  • Windows 10およびWindows 11の複数のバージョン(32-bit、x64、ARM64環境)が影響を受ける対象として報告されている。

  • 米マイクロソフト(Microsoft)および米国立標準技術研究所(NIST)が運営する国家脆弱性データベース(NVD)は2026年8月11日、Windowsのドライバコンポーネントに存在する権限昇格の脆弱性「CVE-2026-68820」の情報を公開した。

  • 同日、米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)も本件に関する追記事項を登録し、実際の攻撃において悪用が確認されている脆弱性としてカタログへの追加を実施している。

脆弱性の概要とメカニズム

今回公表された「CVE-2026-68820」は、「Windows Ancillary Function Driver for WinSock」において発生する脆弱性である。WinSock(Windows Sockets API)はWindows環境でネットワーク通信を制御するための仕組みであり、Ancillary Function Driverはその補助的な役割を担うドライバとして機能している。

本脆弱性の欠陥種別は、脆弱性タイプ分類であるCWE(Common Weakness Enumeration)において「CWE-416(Use After Free:メモリ解放後使用)」と定義されている。Use After Freeは、システムが一度解放したメモリ領域を誤って再利用・参照してしまうことで予期しない挙動を引き起こす不具合である。NVDの記述によると、すでに認証を得ている攻撃者がローカル環境からこの不具合を突くことで、ローカル特権を昇格させることが可能になるという。

CVSSによる深刻度評価

マイクロソフト(CNA: CVE Numbering Authority)が算出した共通脆弱性評価システム「CVSS v3.1」の基本スコア(Base Score)は「7.0」であり、深刻度は「HIGH(高)」と位置づけられている。

登録されたCVSS v3.1の評価ベクトル(AV:L/AC:H/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H)の内訳は次のとおりとなっている。

  • 攻撃元区分(Attack Vector: Local): 攻撃を実行するためには、対象端末へのローカルアクセスが必要となる。
  • 攻撃条件の複雑さ(Attack Complexity: High): 攻撃を成功させるための手順や成立条件が複雑である。
  • 必要な特権レベル(Privileges Required: Low): 攻撃者はあらかじめ低権限(一般ユーザーアカウントなど)を保持している必要がある。
  • ユーザー関与(User Interaction: None): ファイルを開くなどのユーザーによる操作は関与しない。
  • スコープ(Scope: Unchanged): 攻撃による影響は対象コンポーネント自身のセキュリティ境界内に留まる。
  • 機密性・完全性・可用性への影響(High / High / High): 権限昇格が発生した場合、システムの機密性(情報の漏洩)、完全性(改ざん)、可用性(停止や破壊)の3項目すべてに対して最大レベル(High)の重大な影響を及ぼす可能性がある。

なお、NVD独自のCVSS v4.0およびCVSS v2.0に基づく評価値については、現在データ拡充作業中(Undergoing Enrichment)となっており、現時点では「N/A(未提供)」と記載されている。

CISAによる実悪用の確認とSSVC評価

本脆弱性は2026年8月11日付で、CISAの脆弱性分析チーム(CISA-ADP)によって「既知の悪用された脆弱性カタログ(Known Exploited Vulnerabilities Catalog)」へ追加された。

同時に登録された利害関係者向け脆弱性分類「SSVC(Stakeholder-Specific Vulnerability Categorization)」のデータによると、以下の評価が下されている。

  • 悪用状況(Exploitation): active(アクティブに悪用されている)
  • 自動化可能性(Automatable): no(自動化された無差別攻撃は不可)
  • 技術的影響度(Technical Impact): total(全体的・壊滅的な影響)

これにより、攻撃者によって現実に悪用が行われている脆弱性であることが公式に位置づけられている。

影響を受ける対象製品とバージョン

マイクロソフトから提供された製品情報によると、幅広い世代のWindowsクライアントOSが本脆弱性の影響を受ける対象として挙げられている。主な対象製品および修正前バージョンは以下のとおりである。

  • Windows 10 Version 1607(32-bit Systems / x64-based Systems): バージョン 10.0.14393.0 以上、10.0.14393.9418 未満
  • Windows 10 Version 1809(32-bit Systems / x64-based Systems): バージョン 10.0.17763.0 以上、10.0.17763.9115 未満
  • Windows 10 Version 21H2(32-bit Systems / ARM64-based Systems / x64-based Systems): バージョン 10.0.19044.0 以上、10.0.19044.7663 未満
  • Windows 10 Version 22H2(32-bit Systems / ARM64-based Systems / x64-based Systems): バージョン 10.0.19045.0 以上、10.0.19045.7663 未満
  • Windows 11 Version 23H2(ARM64-based Systems / x64-based Systems): バージョン 10.0.22631.0 以上、10.0.22631.7517 未満
  • Windows 11 Version 24H2(ARM64-based Systems / x64-based Systems): バージョン 10.0.26100.0 以上、10.0.26100.9168 未満
  • Windows 11 Version 25H2(ARM64-based Systems / x64-based Systems): バージョン 10.0.26200.0 以上、10.0.26200.9168 未満
  • Windows 11 Version 26H1(ARM64-based Systems / x64-based Systems): バージョン 10.0.28000.0 以上、10.0.28000.2704 未満

32ビット版、64ビット(x64)版に加え、ARM64プロセッサ搭載端末向けの各バージョンも対象に含まれている。

公開リンクおよびアドバイザリ

本脆弱性に関する公式アドバイザリおよび参照情報は、以下のURLで公開されている。

  • マイクロソフト セキュリティ更新プログラム ガイド(MSRC):
    https://msrc.microsoft.com/update-guide/vulnerability/CVE-2026-68820
  • CISA 既知の悪用された脆弱性カタログ:
    https://www.cisa.gov/known-exploited-vulnerabilities-catalog?field_cve=CVE-2026-68820
元URL