Zapier、ChatGPT Workでマーケティング業務を自律化 月間数千件のリード検証と数百万ドル規模の商談創出を実現
要点
- Zapierのエンタープライズマーケティングチームが、OpenAIの「ChatGPT Work」を導入してマーケティングファネルの最適化と業務自動化を推進している。
- 従来は1件あたり35〜45分を要していた離脱リードの調査を自動化し、毎月数千件規模のリードに対する品質検証(QA/QC)体制を確立した。
- ファネル上の問題特定と改修を通じて、毎月7桁(数百万ドル)規模の営業パイプライン価値を特定し、営業部門への引き渡しに成功した。
- キャンペーン素材の生成や定例レポーティングを自動化することで、マーケティング担当者が戦略立案やクリエイティブな施策に集中できる環境を構築した。
- 今後はプロンプト入力にとどまらず、会議録音や顧客データを統合した「共有の脳」による常時稼働型の自動化システムを目指している。
米OpenAIは2026年8月10日、業務自動化プラットフォームを展開する米Zapierが「ChatGPT Work」を導入し、中核となるマーケティングプロセスの刷新と大幅な成果向上を達成した事例を公式ブログで公開した。
Zapierのエンタープライズマーケティング部門では、見込み顧客の離脱防止システムの構築やキャンペーン素材の作成、レポート生成にChatGPT Workを活用している。定常業務を自律的に処理させることで、担当チームが戦略的かつ創造的な取り組みに注力できる体制を整えているという。
毎月数千件のリード検証を自動化、数百万ドル規模の商談を創出
Zapierのエンタープライズマーケティング責任者を務めるアンジェラ・フェランテ(Angela Ferrante)氏によると、同社は質の高いインバウンドリード(問い合わせや登録などの見込み顧客)を多数獲得していたものの、成約に至るまでのファネル(見込み顧客が購買に至るまでのプロセス)において離脱率が高いという課題に直面していた。
離脱の原因を特定するためには、リードがどの段階で離脱しているのかを精査する品質保証(QA)および品質管理(QC)の工程が不可欠だったが、手作業での対応には限界があった。フェランテ氏によれば、担当者が離脱したリード1件の状況を把握するだけでも35分から45分ほどの時間を費やしていたという。
この極めて負荷の高い検証プロセスを、ZapierはChatGPT Workを活用して自動化した。これにより、毎月数千件に及ぶリードのQA/QCを自動で実行できる体制が整った。
フェランテ氏は「ChatGPT Workを活用することで、リードに関するあらゆる問題を特定し、それらの課題をすべて解消する仕組みを構築できた。この取り組みによって毎月7桁(数百万ドル)規模のパイプライン(営業見込み案件)を創出し、営業部門へ引き渡すことが可能になった」と説明している。
現在、このシステムは継続的な成果を挙げており、リードパイプラインで繰り返し発生している課題や週ごとの傾向を可視化する経営陣向けダッシュボードの提供も行われている。
施策立ち上げからレポート作成までを自律化、戦略的業務へシフト
ChatGPT Workの導入は、リード検証だけでなくマーケティング施策の制作や分析業務の効率化にも貢献している。
Zapierのマーケティング部門では、以前は保有しているクリエイティビティを十分に発揮する時間を確保できない状況があった。しかし、ChatGPT Workの導入以降は、デマンドジェネレーション(需要喚起)チームがキャンペーンのアイデアをChatGPT Workに入力し、最適化に向けた提案を受けながら施策を展開している。
フェランテ氏によると、ChatGPT Workはキャンペーン構築に利用している各種システムへ直接アクセスし、必要なアセット(広告文やクリエイティブ素材などの成果物)の生成まで代行するという。数分以内に関係者がレビューして公開できる状態まで仕上がるため、アイデアの発案から実行までのタイムラインが大幅に短縮された。
また、施策数の増加に伴って増大しがちなレポーティング業務も自動化された。結果の集計や分析作業に追われることなく、改善策の実行に多くの時間を充てられるようになったとしており、業務の自律化によってチーム全体がより戦略的な業務に集中できる環境が整ったとフェランテ氏は述べている。
プロンプト依存からの脱却と「共有の脳」が描く今後の展望
Zapierは、現時点で得られている成果にとどまらず、さらなる業務プロセスの高度化を計画している。
フェランテ氏は、マーケティングチームに真の変革をもたらす今後の取り組みとして、ユーザーが都度指示を出す「プロンプト入力」に頼る運用から、システムが常に自律して動き続ける「常時稼働ループ(always-on loops)」への移行を挙げている。
同社が最終的な目標として見据えているのは、社内の会議や通話録音、顧客の声、市場動向といった多様なコンテキスト(文脈情報)を統合した「共有の脳(shared brain)」の構築だ。定常的な作業はすべてバックグラウンドで自動的に処理され、人間の担当者は方針決定や品質の最終判断を行う「テイストメーカー」としての役割を担う姿を目指しているという。