智譜、AIエージェントに特化した新モデル「GLM-5-Turbo」を発表 定額パッケージや企業向け安全システムも提供
要点
- 中国のAI企業・智譜(Z.ai)が、AIエージェントフレームワーク「OpenClaw」向けに最適化された新しい基盤モデル「GLM-5-Turbo」を発表した。
- ツール呼び出しや指示追従、タイマー処理、大量データの連続実行といったエージェントの中核機能が大幅に強化されている。
- 評価基準「ZClawBench」で中国産首位を獲得し、ブラインドテストでも90%のユーザーから他モデルより優れていると評価された。
- 大量のトークンを消費するエージェント向けに、定額料金プラン「Clawパッケージ」の提供を開始した。
- 各エージェントの処理経路の監視や権限管理が行える企業向けセキュリティシステムを構築した。
リード文
中国のAI企業である智譜(Z.ai)は、AIエージェント(自律的に作業を計画・実行するAIシステム)の処理に特化して最適化された新しい基盤モデル「GLM-5-Turbo」を発表した。この発表にあわせ、エージェント利用時のコスト負担を軽減する定額料金プラン「Clawパッケージ」や、企業向け管理システム「Claw for Enterprise Security」の提供も開始した。従来の汎用AIモデルが複雑なタスクで失速しやすいという課題に対し、モデルの訓練段階から設計を見直したという。
本文
エージェントの動作を根本から強化する「GLM-5-Turbo」
AIエージェントの利用では「会話は得意だが実際の業務を完結できない」という課題があった。これはシステムではなく基盤モデル(AIの基礎となる大規模学習モデル)に起因し、汎用モデルでは複雑な長期タスクで処理が中断しやすいためだ。
智譜はこの課題を解決するため、訓練の初期段階から実際の「エージェントワークフロー」を想定してGLM-5-Turboを開発した。主に以下の4つのコア機能が強化されている。
- 外部ツールを安定して実行するツール呼び出し(Tool Calling)。
- 複雑で長い指示を正確に分解・計画し複数エージェントで協調する指示追従(Instruction Following)。
- タイマー処理や途切れのない長時間運転に対応する定時および持続性タスク。
- 大量のデータや多くの手順を経るプロセスを高速かつ安定して動かす高スループットな長リンク実行。
評価基準「ZClawBench」での実績と企業による評価
智譜は、OpenClawの多様なユースケース(コード開発やデータ分析など)を分析し、評価基準「ZClawBench」を公開した。本モデルは前身「GLM-5」から大幅に性能が向上し、他の中国産モデルをリードしている。エージェントクライアント「AutoClaw(澳龍)」でのブラインドテストでも、90%のユーザーが他モデルより優れていると回答した。
テストに参加したアリババやバイトダンス、美団などの大手テック企業からも、指示追従の正確さや長時間タスクの安定性、プログラミング支援能力について極めて高い評価を得ている。
なお、本モデルは軟通動力(iSoftStone)傘下のMECHREVOミニPC「龍蝦ボックス」に初期搭載され、エージェント専用ハードウェアとしてグローバル発売される予定だ。
トークン大量消費に対応する定額プランと安全管理システム
AIエージェントは自律動作で大量のトークン(AIが処理する最小文字単位)を消費するため、コストが課題となる。そこで智譜は、トークン制限を実質的に排除する定額プラン「Clawパッケージ(個人版・Team版)」を提供し、企業は従業員数に応じて契約を柔軟に調整できるようにした。
同時に発表された企業向け管理システム「Claw for Enterprise Security」では、各エージェントの実行経路やリソース消費をリアルタイムで監視できる。アクセス権限管理、監査ログの自動生成、データの暗号化、人間による手動承認機能などが統合されている。
導入方法と料金システム
GLM-5-TurboのAPI(外部のシステムやサービスと連携するための窓口)はすでに「BigModel.cn」や「api.z.ai」で提供が開始され、コード支援プラン「GLM Coding Plan Max」にも統合された。Proプランは今月中、Liteプランは4月中に順次対応予定である。
本モデルのAPI消費額度は通常「ピーク時3倍、非ピーク時2倍」だが、4月末まで非ピーク時は1倍となる。エージェントアプリ「AutoClaw」でもデフォルトモデルとなり、一定の無料枠を提供するほか、3月22日まで割引パックを販売する。