主要画像生成AI 20モデルの実測コスト比較をOpenRouterが公開 最安と最高で22倍の開き
要点
- AIモデルのルーティングサービスを提供するOpenRouterが、主要な画像生成AI 20モデルを対象に同一条件下で生成コストと仕様を比較検証した結果を公表した。
- 1枚あたりの実課金額は0.006ドルから0.1344ドルとモデル間で最大約22倍の価格差が確認された。
- 検証における最安モデルはOpenAIの「gpt-image-2」であり、短文プロンプトで0.006ドル、長文プロンプトで0.0135ドルを記録した。
- 各モデルで課金単位がトークン、メガピクセル、画像枚数などに分かれており、カタログ上の表示価格だけでは横断的な比較が困難な実態が示された。
- 同時生成枚数の上限やシード値による再現性、出力ファイル形式などのAPI仕様面でも各社モデルごとに大きな差異が判明した。
- AIモデルのルーティングプラットフォームを提供するOpenRouterは2026年9月18日、同社が提供する画像生成AIモデルのうち20種類を対象に実施した、生成コストおよび出力仕様の比較テスト結果を公式ブログで公開した。同社が中継する52の画像生成モデルから主要モデルを選定し、同一のプロンプト(AIへの指示文)と画像サイズを指定してリクエストを送信し、レスポンスに含まれる実際の課金額を計測・比較したものだという。
課金体系の違いと同一条件でのコスト測定
画像生成AIのコスト比較が困難な背景として、モデルごとに採用されている課金単位の違いがある。Black Forest Labsの「FLUX.2」シリーズがメガピクセル(100万画素単位)課金を採用しているのに対し、Googleの「Gemini」、OpenAI、Microsoftの「MAI」はトークン(AIがデータを処理する基本単位)課金となっている。さらにxAIの「Grok」やRecraft、Sourcefulの「Riverflow」、Alibabaの「Qwen」、ByteDanceの「Seedream」などは画像1枚単位の課金であり、指定する解像度や品質に応じて単価が変動する仕組みをとっている。
こうした表示単位の不統一によりカタログ上の価格だけでは比較が成立しないため、OpenRouterは同一条件での実測を実施した。2026年9月11日に行われたテストでは、全20モデルに対して「A studio packshot of a glass bottle, hard key light, no text.(ガラスボトルのスタジオ撮影写真、ハードなキーライト、テキストなし)」というプロンプトを渡し、アスペクト比1:1、その他の設定はデフォルトの状態でリクエストを送信した。各レスポンスに含まれる課金額フィールド(usage.cost)を抽出することで、同一条件下での横断的な費用比較を行っている。
実測コストの分布と用途別の傾向
測定の結果、デフォルト設定による1枚あたりの生成コストは最安で0.0060ドル、最高で0.1344ドルとなり、モデル間で約22倍の価格差が記録された。
最も安価に生成できたのはOpenAIの「gpt-image-2」で、短文プロンプトで0.0060ドル、長文プロンプトでも0.0135ドルだった。同モデルは2行のテキストラベル描画や参照画像を用いた編集処理も正確にこなしたと報告されている。
測定された20モデルの実測コストは以下の通りとなっている。
- 0.03ドル以下: openai/gpt-image-2(0.0060ドル)、black-forest-labs/flux.2-klein-4b(0.0140ドル)、sourceful/riverflow-v2.5-fast(0.0176ドル)、black-forest-labs/flux.2-pro(0.0300ドル)、qwen/qwen-image-3(0.0300ドル)、krea/krea-2-medium(0.0300ドル)
- 0.03ドル超〜0.05ドル以下: openai/gpt-image-1-mini(0.0333ドル)、google/gemini-3.1-flash-lite-image(0.0336ドル)、recraft/recraft-v4.1(0.0350ドル)、bytedance-seed/seedream-5-0-lite(0.0350ドル)、microsoft/mai-image-2.5(0.0482ドル)、black-forest-labs/flux.2-flex(0.0500ドル)、x-ai/grok-imagine-image-quality(0.0500ドル)
- 0.05ドル超〜0.07ドル以下: x-ai/grok-imagine-image-2.0(0.0600ドル)、sourceful/riverflow-v2.5-pro(0.0641ドル)、google/gemini-3.1-flash-image(0.0672ドル)、black-forest-labs/flux.2-max(0.0700ドル)
- 0.07ドル超: recraft/recraft-v4.1-vector(0.0800ドル)、bytedance-seed/seedream-5-0-pro(0.0900ドル)、google/gemini-3-pro-image(0.1344ドル)
OpenRouterは用途に応じたモデルの使い分けについても言及している。難度の高い画像生成には「sourceful/riverflow-v2.5-pro」(0.0641ドル)、画像生成と同時にテキストの返答が必要なタスクには「google/gemini-3-pro-image」(0.1344ドル)、編集可能なベクター形式(SVG)が必要な場合は「recraft/recraft-v4.1-vector」(0.0800ドル)を挙げている。また、OpenAI製モデルでは品質設定(quality)の変更により、同一の画像生成でも0.006ドルから0.211ドルまで費用が変動したとしている。
デフォルト解像度と出力フォーマットの違い
生成結果の仕様面でも各社で異なる挙動が確認された。解像度パラメータを指定しない場合、大半のモデルは1024×1024ピクセルで画像を返したが、ByteDanceのSeedreamシリーズ2種は2048×2048ピクセルを出力した。「Seedream 5.0 Lite」は受け付け可能な最低解像度が2Kとなっており、0.035ドルで4メガピクセル分の出力が得られるため画素あたりの単価としては割安になるという。一方、「Seedream 5.0 Pro」は1K指定に対応しているものの、未指定のデフォルト呼び出しでは2Kで生成され、基本レート(0.045ドル)ではなく高解像度レート(0.090ドル)が課金されたと説明している。
出力されるファイル形式もモデルごとに分かれている。FLUX.2、Grok、SeedreamはJPEG形式、OpenAI、Qwen、Microsoft、KreaはPNG形式、SourcefulとRecraftはWebP形式で出力された。RecraftのベクターモデルはSVG形式を返し、テストしたGemini系3モデルは出力形式の指定パラメータ(output_format)に対応していなかったという。
APIパラメータの制限とテキスト描画能力
API(プログラム同士を連携させるインターフェース)の制御パラメータにおいても対応状況に差が見られた。1回のリクエストで取得する画像枚数を指定するパラメータ(n)は、FLUX.2、Gemini、Grok、Riverflow、Microsoft MAIの各モデルにおいて上限が1枚に制限されていた。また、生成のランダム性を固定するシード値(seed)はGemini、Grok、OpenAI、Riverflow、Recraft、Microsoft MAIには存在しない。シード値に対応している「FLUX.2 Klein」では、同一シードを指定することでバイト単位で完全に一致する画像が再現されたとしている。
画像内に文字を埋め込むテキスト描画機能については、テストを実施した6モデルのうち最安の「gpt-image-2」を含む5モデルで指示通りの正確な文字描画が行われた。なお、APIレスポンスのデータ構造について、未加工のREST APIでは data[0].b64_json フィールドに、TypeScript向けSDKでは data[0].b64Json フィールドにBase64形式の画像データが格納される仕様となっている。
補足事項
OpenRouterは、今回の検証値は2026年9月11日時点で測定された実測データであり、各モデルの提供価格や仕様は頻繁に変更されるため、1か月以上経過したデータは予算の確定値ではなく目安として扱うよう案内している。