ZimbraのClassic Web Clientに重大な脆弱性、メールを開くだけで悪意のあるコードが実行される恐れ
要点
- コラボレーションツール「Zimbra」のClassic Web Clientにおいて、任意のコード実行につながる重大な脆弱性が判明した。
- この脆弱性は蓄積型クロスサイトスクリプティング(XSS)に起因しており、特別に細工されたメールを開くだけで、ユーザーセッション内で悪意のあるスクリプトを実行される危険性がある。
- 悪用された場合、メールボックス内の情報やログイン状態を管理するセッションデータ、アカウント設定などが不正に取得される恐れがある。
- 現時点でこの脆弱性が実際に悪用された事例は確認されていないが、Zimbraは最新の修正プログラム「Zimbra Collaboration Suiteバージョン10.1.19」への速やかなアップデートを推奨している。
コラボレーションプラットフォームを提供するZimbraは、同社製品の「Classic Web Client」に存在する重大なセキュリティ脆弱性を修正するため、ユーザーに対して速やかにアップデートを適用するよう呼びかけている。この脆弱性は、特別に細工された電子メールを受信して開いただけで、ユーザーのブラウザセッション内で悪意のあるスクリプトを実行されてしまう危険性があるという。Zimbraは2026年7月11日、この問題に対処する最新バージョンを公開した。
脆弱性の概要と影響
今回公表されたのは、Zimbraの「Classic Web Client」における脆弱性である。現時点では共通脆弱性識別子である「CVE」の番号は割り当てられていないが、Zimbraのリリースノートや公式ブログにおいて詳細が説明されている。
Zimbraの公式発表によると、このアップデートは、特定のメールを開いた際に悪意のあるコードが実行されてしまうセキュリティ上の問題に対処するものだという。万が一この脆弱性が悪意ある第三者によって悪用された場合、被害を受けたユーザーのメールボックス内の情報や、ログイン情報を保持するセッションデータ(ログイン中のユーザーの識別や状態を保持するための情報)、さらにはアカウントの各種設定情報に不正アクセスされる危険性がある。
クロスサイトスクリプティング(XSS)の脅威
今回の問題は、セキュリティ分野で「蓄積型クロスサイトスクリプティング(XSS)」と呼ばれる脆弱性に起因している。
クロスサイトスクリプティング(XSS)とは、Webアプリケーションが外部から入力された信頼できないデータを適切に検証(入力値の安全性を確かめる処理)やエスケープ(無害な文字列に変換する処理)を行わずに、そのままWebページに表示してしまうことで発生する脆弱性である。これにより、攻撃者は被害者のWebブラウザ上で悪意のあるJavaScriptなどのプログラムを勝手に実行させることが可能になる。その結果、ログイン状態を奪うセッションハイジャックや、ログイン資格情報の窃盗、アカウントの乗っ取りといった深刻な被害を招く。
なかでも「蓄積型XSS」(または持続型XSS)は、攻撃者が送信した悪意あるスクリプトが、ターゲットとなるサーバーのデータベースなどに永続的に保存されるタイプを指す。今回はメールの形でプログラムがサーバーに保管されるため、そのメールを開いたユーザー全員が、知らないうちに自動的に悪意あるコードを実行させられてしまうという、極めて深刻な影響を及ぼす。
標的になりやすいZimbraの歴史と過去の事例
Zimbraは現在のところ、今回の脆弱性が実際にサイバー攻撃などで悪用された事例については言及していない。しかし、Zimbraの製品に存在するXSS脆弱性は、長年にわたって多くのサイバー攻撃者を引きつける標的となってきた歴史がある。悪意あるハッカーグループは、古くは2021年12月頃から同社の脆弱性を悪用する攻撃を繰り返している。
直近の事例では、昨年2025年10月、やはりClassic Web Clientにおける蓄積型XSSの脆弱性である「CVE-2025-27915」(CVSSスコア5.4)が、ブラジル軍を標的とした攻撃において、修正パッチが提供される前の「ゼロデイ脆弱性」(メーカーが問題を把握して修正プログラムを提供する前の状態にある脆弱性)として悪用されたと報じられた。ただし、当時Zimbraは取材に対し、実際にそのゼロデイ攻撃が行われたという確証や証拠は見つからなかったと回答している。
これ以外にも、過去には「CVE-2023-37580」や「CVE-2024-27443」といったXSSの脆弱性が、実際に攻撃者によって悪用された事実が確認されている。
推奨される対策
Zimbraの脆弱性は、一度公開されると攻撃の標的となる可能性が非常に高いため、迅速なセキュリティ対策が求められる。Zimbraは、最善の保護体制を構築して製品を安全に使用するために、すべてのユーザーに対して最新の「Zimbra Collaboration Suiteバージョン10.1.19」へ速やかにアップデートするよう強く推奨している。